docomo、背水の陣?


ドコモ、セット割で「最後の戦い」 :日本経済新聞

性懲りもなくドコモについてのエントリを。それほど料金プランの改悪で嫌気がさしたのです。
引用元は日経の記事なので会員登録してないと全文は見られません。

直近でも散々色々言及しましたね。

ドコモついにセット割引、でもやっぱり一人だと損 – ただひたすら書こうと思った事を書くところ

ドコモ光について、docomoの中の人の見解 – ただひたすら書こうと思った事を書くところ

これについては分析というよりは個人の感想を。

結局自社のための戦略に見える

どういうことかというと、
正直それほどユーザ側にメリットのある施策を
ここ最近打ち出せていない感があります。

確かに個々の施策を見る限り一部のユーザにはメリットがあるかなと思えるのですが、
それ以上に不利益を被るユーザや
大してメリットのないユーザに対しての引き止めができておらず、
結局減益につながったように思えます。

記事内を見ても失敗だったよなあ、と思う施策ばかりです。

 13年5月に打ち出した「ツートップ戦略」。iPhoneで顧客を奪い続けるソフトバンクモバイルKDDIに対抗するため、基本ソフト「アンドロイド」搭載の2機種を集中的に販売する戦略だったが、不発に終わり、ひずみも生んだ。対象機種に対する実質的な値引きを拡大したため、この影響が収益面で後々まで尾を引くことになったのだ。ある関係者は「ツートップ*1がうまくいかなかったので、iPhone導入に踏み切れた。そういう意味では必要な施策だった」と自虐的に振り返る。

このツートップ戦略ですが、
俺個人としてはLGの端末を愛用していたので
全くメリットがないどころか露骨に冷遇されたと思いましたよ。

フィーチャーフォンからAndroid端末への移行も施策の目的だったのかもしれませんが、
ツートップに指定されなかった端末を使っていたり、
使おうとしていたユーザが他キャリアにMNPしてしまうのは何ら不思議ではないですね。

 13年9月にようやくiPhoneを導入し、顧客流出に底入れの兆しがみえたが、さらに巻き返しを狙って14年6月に導入した「かけ放題」の新料金プランが誤算だった。「年度内に1000万契約」の目標を掲げたが、ふたを開けてみると「6月だけで470万件もの契約が取れた」(加藤社長)。国内通話が定額になるメリットを享受できる利用者が殺到したことで減収効果が先行。データ通信でも最安プランに利用者が集中し、今期の大幅減益見通しを招くことになった。

新料金プランについては個人的にもかなり嫌な施策だったのでさんざん言及してます。

そろそろドコモの料金プランが通話料固定、パケット定額値上げになってしまう – ただひたすら書こうと思った事を書くところ

カケ・ホーダイにより、ドコモ減収減益だってさ – ただひたすら書こうと思った事を書くところ

ドコモの新料金プラン、不満続出 – ただひたすら書こうと思った事を書くところ

これもツートップ戦略と同じで、特定のユーザにターゲットを絞り、
それ以外のユーザを冷遇する施策です。
docomoがそういうつもりで出したのかはわかりませんが、
「家族で料金をまとめていないユーザ」や「通話をあまりしないユーザ」に関しては
かなりの値上げになるという現実を踏まえるとそう言わざるを得ません。

大して得にならないどころか損するユーザが出てきてしまったら、
そのユーザが流出しても仕方ないと思うのですがねえ。
しかも俺みたいに通話ほとんどしないでデータ通信をそこそこするユーザは
新料金プランだと大損です。

カケホーダイで他社から通話メインのユーザを流入させられると考えたのかもしれませんが、
LINE等のチャットアプリで基本的なやりとりが完結し、
アプリ内でデータ通信を用いての通話ができる状態が既に確立されてしまっていては、
わざわざそんなにお金を出して音声通話の方を改めて使おうとする人が少なかったのだと思います。

その点は完全に戦略ミスでしょう。
ちょっと考えたらすぐに思いつきそうなシナリオだと思うのですが、
誰も思い至らなかったのか、思っても口にできなかったのか…。

ユーザの現状を踏まえられていないのではないか

こちらのエントリでも言及したとおりですが、
ユーザが考えるコミュニケーションの形とdocomo側が考えるコミュニケーションの形が乖離してたのが敗因だと思います。

そろそろドコモの料金プランが通話料固定、パケット定額値上げになってしまう – ただひたすら書こうと思った事を書くところ

吉澤和弘常務は「音声通話はコミュニケ―ションの基本中の基本だと思っている。これまでは料金が高いということで抑制されていたと思うが、定額プランでもっと楽しんでいただきたい。実際、利用が少なかった20代女性の通話が伸びている。オプションとすることも考えられるが、複雑になるのでシンプルな設定にした」

このコメントから受ける印象として、
「ユーザが実際にどう考えているか」が読み取れない、
というのがあります。
だからこそこう何度も施策をハズしてしまっているのではないかと。

docomoが商売ベタだなと思うところはこういうところです。
正直なところ、ユーザ無視でキャリア本位の施策を続けている、という感想です。

記事内ではこんなことが書かれています。

 「家庭内の『ねじれ』を解消する」――。ドコモ社内では最近、こんな言葉が交わされている。NTTの鵜浦博夫社長は2月19日の講演で、「両親は長期のドコモ利用者だが、iPhoneがなかったために子供が他社に流出したケースがある。こうした子供に戻ってきてもらいたい」と胸の内を明かした。これがセット割でスマホの基本料金を半額にする狙いだ。

ユーザを特定の層に絞りすぎではないでしょうか、と思いました。
そもそもの料金プランの設定が原因でその親のほうが流出してしまったら意味無いですし、
相変わらず長期の利用者はそこまで優遇されずMNPしたほうが得だという現状なので、
そちらをどうにかするほうが先ではないかと感じます。

そもそもdocomoが想定している形のユーザってどれくらいいるんでしょう?
ユーザの形を「こうあるべき」と決めつけているような、そんな印象すら最近は受けています。
そうだとすれば、そりゃユーザを無視したとも言える施策が沢山出てきますよねえ。

では、セット割についてはどうか

正直これもユーザへのメリットよりキャリア本位のような気がしています。

 光回線は「工事を伴い、一度加入すると他社へ乗り換えにくい」(NTT幹部)。つまり「囲い込み力」は、かけ放題プランなど従来の対抗策に比べて圧倒的に高い。シェア下落を食い止めるために、様々な思惑を盛り込んだ節がある。

これはドコモに限った話ではないのですが、
そもそも流出を防ぐための施策であるという印象を受けます。
ただ、長期でdocomoにそろえてくれる人には優遇しますよ、
ということだと思うので、この点は長期ユーザへのメリット提供と言えるかもしれません。
ただ、新料金プランにしてないとメリットをあまり享受できないというのと、
旧料金プランと比較すると別に安くもないというのが…。

新料金プランに関してはドコモショップでプランについて聞いても、
旧料金プランのままのほうがお得ですねと言われる始末でしたからねえ。

というわけで、新料金プランにし(てしまっ)たことによるマイナスをどうにかしないと、
十分な巻き返しにならないのではないかと思っています。

もっとも、そのへんは参入すると噂されているMVNOでカバーするつもりなのかもしれませんが、
どうなりますかねえ。

docomoがMVNO参入!? – ただひたすら書こうと思った事を書くところ

*1:GALAXYとXPERIAでしたよね、確か

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